睦月君の言葉に驚いていた。
「はぁっ?何で、アイツが
ママにヤキモチを妬くんだよ?」
意味が分からない先生。
「…………。」
「おい。そこは、黙りかよ?ったく
それだけでは意味が分からねぇーよ」
呆れながら言うと睦月君がおろせと合図する。
先生は、仕方がなく
おろすとドアに向かって歩き出した。
「おい。何処行く気だ?」
睦月君は、気にする事なくドアを開ける。
そして、チラッと先生の方を向くと
「……お姉ちゃんのとこ」とだけ言い
部屋から出て行った。
「はぁっ?」
するとまた、ドアが開き
睦月君がひょっこりと顔を出した。
「…パパは、来なくてもいいよ。嫌なら」
それだけ言い閉めた。
静まり返る部屋。
すると先生は、頭をぐしゃぐゃとかきだした。
「ったく……こういう時だけベラベラと喋りやがって
遠回しに迎えに行けってことかよ」
舌打ちをしながら呟いた。
私は、そんなやり取りをしているなんて
知らなかった。
1階のフロント近くのソファーに座り泣いていた。
ハンカチで涙を拭いていると
ホテルのスタッフの人が心配そうに声をかけてくれた。
「あの…お客様。大丈夫でしょうか?」
「…はい。ちょっと目にゴミが入っただけなので
気にしないで下さい」
スタッフの人に心配されるなんて情けない。
本当…私は、ダメな人間だ。