睦月君は、カバンから絵本を取り出し見せてきた。
「あぁ、絵本を読んでもらうつもりなのね?」
するとそのまま立ち上がり先生のもとへ
「あぁ、絵本か。なら、早く
歯磨きとトイレを済ませろ」
睦月君は、コクリと頷き洗面所に向かった。
歯磨きは、先生が手伝っていた。
ベッドに戻ると寝転がる睦月君。
先生も横に寝そべり絵本を広げた。
そういえば、先生が
絵本を読む姿は、初めてみる。
私は、隣にのベッドを使わせてもらう。
横に転がると徐に読み始めていた。
低くて心地のいい声。
絵本は、昔から知っている
一寸法師の話だったが、先生が朗読すると
何だか新鮮に思える。
(意外と上手い。それに…何だか落ち着く…)
うっすらと目が閉じていく。
あまりにも心地よくて睡魔が私を襲った。
「……う…ん…」
うっすらと目を開ける。
辺りは、薄暗くなっていた。
私……いつの間に眠っちゃったのかしら?
あまりにも先生の声が心地よくて
いつの間にか寝てしまったらしい。
隣のベッドを見ると睦月君は、
スヤスヤと寝息をたてて眠っていた。
あれ?先生は…?
そこには、姿が無かった。
辺りを見渡すとソファーで
ノートパソコンに向き合っていた。
こんな時間まで仕事を?
近くに備え付けてあった時計を見ると
深夜の1時過ぎ。
そこだけ電気をつけて執筆をしている。
無理しなければ、いいけど
お茶でも淹れてあげた方がいいかしら?
そう思い起き上がろうとしたら
先生は、ハァッ…とため息を吐き眼鏡を外した。
私は、ビクッと反応して止まる。