それから私は、指定されたホテルに向かった。

有名な高級ホテル。
ここに先生と睦月君が避難している。

「うわぁ~凄いホテル。綺麗…」

私なら、なかなか泊まる事なんて出来ないわ。
羨ましい限りだ。

えっと…部屋番号は?

編集長に教えてもらった部屋に向かう。
チャイムを鳴らすと先生が出てきてくれた。

「あぁ、お前が来たんだな」

「引き続き私が担当として
お世話をする事になりました。
あの…よろしくお願いします」

深々と頭を下げた。

「別に固くなるな。ったく
こんな所に避難しなくても俺は、大丈夫なのに
勝手な事をしやがって…」

ブツブツと文句を言う先生だった。

「ですが、自宅もバレて
外出がしにくいと思いますし…少しの辛抱ですよ」

そう言ってなだめていると睦月君が
ジッと私の手元を見ていた。

おっと…そうだった。

「はい、睦月君。
前に買ってきたシュークリーム。
新作が出たから今日のお礼に…ありがとね」

睦月君に庇ってくれたお礼として
手土産を渡した。

「…ありがとう」

睦月君は、お礼を言うが目線は、
シュークリームの方に夢中だ。

「…悪いな。コイツのために
シュークリームまで」