そうしたら先生は、クスッと笑った。

「それは、違いねぇ…。
よく見えないと周りからも言われているからな。
しかし、俺が書いているのは、事実だ。
中には、ゴーストライターが居るのでは?
と思う奴も居るかも知れない」

「だが俺は、息子や俺の小説を楽しみに
してくれているファンを裏切るような事は、
していない。これからもだ。
まぁ、この外見でガッカリした奴も
居るかもしれないが
それは、すまないと思っている」

真っ直ぐと前を向いて話す先生だった。

「………。」

正直で飾り付けない。

ヒヤヒヤする発言ばかりだけど
先生の誠実さが伝わってきた。

改めてカッコイイと思った。

編集者ではなくても
私は、先生のファンであり続けたいと思った。

「わ、私も蓮見先生の小説のファンです!!」

だから、思わずそう発言してしまった。
周りは、驚いて私を見る。

ハッ!!

また、やらかしてしまった。
身体中から火が出るぐらい恥ずかしくなる。

でも、言わなくては……。

先生や睦月君のためにも
そして大好きな先生の作品を守るためにも

「私も最初に見た時は、正直驚きましたが
先生に怒られてばかりだけど仕事や
どれに対しても真面目で優しい人です。
真剣に仕事にも打ち込んでいて
そんな疚しい事なんてしていません。
私も先生の作品のファンなので
断言が出来ます!」

思い切って自分の気持ちを伝えた。

ざわつく取材陣。

「……小野木……お前……」

先生も驚いた表情をしていた。

うぅっ……ますます身体中が熱くなる。

しかしまだ、食い下がらない報道陣の1人が
ツッコんできた。

『それは、また……意味深い発言ですね?
こんなに熱く語るなんて…もしかして
蓮見先生に対して特別な感情が?』

マイクをこちらを向けて来ようとする。

ひぃぃっ…もしかしてやぶ蛇!?