「……先生…」

私を庇ってくれた。

そうすると先生は、真っ直ぐ前を向き

「確かに俺は、作家の蓮見真夜だ。
このたびは、ご迷惑をかけて申し訳ない」

睦月君を落とさないように
抱き直しながら頭を下げた。

『あの……この記事の真相は?
それにどうして、今頃になって表に?』

『本当に彼女は、編集者なんですか?
奥様とかでは?』

取材陣は、次から次へと質問してきた。

私は、不安に思いながら
背中越しから先生を見上げた。

「俺の妻は、コイツが赤ん坊の頃に
病で亡くなっている。
これからも再婚する予定はない。
それにあの記事は、具合が悪くなった彼女を
運んだからだ。
変な意味もないから検索するだけ無駄だぞ」

ズキッ……。

その言葉にズキッと胸に突き刺さった。

分かっているけど、直接
先生の口から言われると辛い。

望みすら無いと改めて思い知らされるから

そうしたら先生は、続けて語り始める。

「表舞台に一切出なかったのは、
コイツがまだ、幼いからだ。
下手に周りにうろつかれたり、俺に対しての
中傷的な事を言われ息子が傷つけさせないため。
別に好き勝手に言いたい奴には、
言わしておけばいいが…息子を傷つける奴は、
容赦しねぇーからそのつもりでやれ」

ギロッと周りを圧倒させるように睨みつけた。

先生…そんな脅すような事を言ったら
まずいのでは?

オロオロしながら私は、止めようか悩んだ。

しかし、食い下がらない報道陣の1人が

「蓮見先生は、あまり…小説家には、
見えませんよね?
どちらかといえば、ロック系というか…」

なっ!?

確かにそうだが、今そんな事を言わないでほしい。
変な誤解をされかねないのに