『とにかく人と長く会話をするのを
極端に嫌がる子でね。
だから会話をする時は、YESかNOか
ジェスチャーで応えられる単語にしてやって』
『それ以外は、大人しく聞き分けのいい子だから
君とも仲良くやれると思うから』
そう言っていた。
つまり…こういう事なのね?
今さっきは、言葉を多くさせる質問をしたから
応えてくれなかったけど
ケーキを見せたから
指を指して回答してくれたってこと。
なるほど。
だったら、こちらも
「睦月君。オレンジジュースと
リンゴジュースならどちらがいい?」
そう言って紙パックを睦月に見せた。
そうするとオレンジジュースの方を
指差して応えてくれた。
何となくだけど、コツを掴んだかも…。
「じゃあ、用意するから向こうで待っててくれる?」
そう言うと睦月君は、
コクリと頷き向こうのテーブルの方に
行ってしまった。
確かに聞き分けのいい子だわ。
私は、お皿とコップを取り出し用意した。
オレンジジュースを睦月君用の小さなコップに
注ぎながら
「しかし、変わった子だわ…」と思った。