ギクッ!!
あ、そうだ。岩神さんは、まだ
蓮見先生の素顔を知らなかったんだった。
どうしよう。
何とか誤魔化さなくては……。
「……俺が誰だろうが、お前に名乗る気はない。
行くぞ。小野木」
「は、はい。」
慌てて返事する。
行こうとしたら慌てて岩神さんは、
私の腕を掴んだ。
「おい。だから待てって。
お前は、今日俺のパートナーだろ!?
勝手に連れて行こうとするな」
岩神さん!?
しかし先生は、ギロッと岩神さんを
睨み付けながら
「あっ?誰が誰のパートナーだって?
コイツは、俺の担当編集者だ。
勝手に扱うんじゃねぇ」
そう言い放った。
せ、先生!?
「担当…編集者…?痛っ!!」
痛がる岩神さん。
見てみると抱っこしていた睦月君が
私の腕を掴んでいた岩神さんの手を
つねっていた。
「睦月君!?だ、ダメよ…つねっちゃあ…」
慌てて引き離した。
するとギュッとしがみついてきた。
「フッ…どうやらコイツは、
小野木を盗られたくないみたいだな。
そういう訳だから返してもらうぞ」
勝ち誇った表情をする先生。
だが岩神さんは、グッと歯を食いしばりながら
「あ、あんたが蓮見先生なのか!?」
大声で先生の名前を叫んだ。