ぶつかった子供は、睦月君だったのだ。

「えっ?睦月君……何でここに!?」

どうして居るはずのない睦月君が居るのだろうか?

すると両手を広げ抱っこをねだってきた。

私は、ワケが分からなかったが
抱っこをしてあげた。

よく見るときちんと正装している睦月君。

これって…まさか!?
こんな小さい子供が1人で来る訳がない。

「睦月君…パパは、どうしたの?」

そう尋ねると入り口の方に指を指した。

指を指した方向を見ると
スーツ姿の先生が腕を組みながら立っていた。

「せん…せい!?」

蓮見先生が受賞パーティーに来てくれた。

それだけでも驚いて仕方がない。
すると先生は、私の方に近づいてきた。

心臓が一気に高鳴りだす。
が、しかし。

こないだの事を思い出すと
気まずい気持ちになった。

私は、先生の顔を見ることが出来ずに
横を向いた。

「……。」

私は、黙り込んだ。
そうしたら先生は、ため息混じりに

「言っておくが勘違いをするなよ。
睦月がお前に会いたがって
うるさいから仕方がなく…会いに来て
やっただけだからな」

そう言ってきた。

えっ?

会いたがってうるさいって…普段は、
ほとんど話さない睦月君が、どうやって!?

驚いて先生の顔を見た。

そうしたら思いっきりデコピンされる。

い……痛い!!