心配そうに言ってくれる岩神さん。

その心遣いに胸がズキッと痛んだ。

「だ、大丈夫です。
1人でも…それより大丈夫なんですか?
主役がこんな所に居て」

挨拶まわりとかあるのでは……?

「少しぐらいなら大丈夫だろ。
それに…今は、こっちの方が大事だし」

そう言おうとした岩神さん。
しかし、被さるように司会者の
アナウンスが流れた。

『ただいまより。
受賞パーティーを再開させて頂きます。
受賞の方は、前にお集まり下さい』

「あ、ほら。前に集まって下さいと
言っていますよ?」

助かった。
あまり体調悪いと気付かれたくない。

「だが、しかし…」

岩神さんは、行くか戸惑っていた。

「私は、本当に大丈夫ですので…」

何とか岩神さんを前に行かせた。

行ったのを確認するとハァッ…とため息を吐いた。
さっきより気持ち悪くなってきた。

頭がクラクラする。

前では、受賞者達のスピーチが行われていた。

私は、何処か座る所を探しにフラフラと歩いた。
周りの人達や取材陣は、前の受賞者に集中していた。

すると出口側で小さい子供とぶつかった。

ドンッ!!

「あ、ごめんなさい。大丈夫…」

謝りながらその子供を見た。
しかし、その子に驚いた。

えっ?何で…ここに!?