まただ…。
どうしても話しかけても応えてくれない。
何で?
頭の中が、ぐるぐると回りテンパってしまう。
落ち着け…また失敗する前に
他にいい方法があるはずだわ!?
とりあえずケーキの入った箱を睦月君に見せた。
「ほらほら。こんなに美味しいケーキがあるのよ~?
睦月君も食べたくな~い?」
笑顔でもう一度話しかけてみた。
そうしたら睦月君は、
ショートケーキとチョコケーキを指を指した。
あれ?
これって応えてくれたの?
その瞬間。
河合先輩の注意事項を思い出した。
慌ててケーキをテーブルに置くと
スケジュール帳のメモを見る。
そして、やっと意味を理解した。
睦月君の行動を…。
河合先輩が言っていた。
『息子の睦月君は、極度に人と話すのが嫌う子でね。
別に言語障害がある訳でも人見知りをする訳でも
無いのだが……ただ性格の問題というか』