惹かれているのは、事実。

でも、叶わない恋だとも理解している。
だから、そんなにすぐに壊れるような恋をする
勇気は、私にはない。

「す、好きとかそういう関係ではないもん。
むしろ先生に振り回されっぱなしで
迷惑しているし」

自分の気持ちを隠すように私は、嘘をついた。

それを聞いた梨子は、大きくため息を吐いた。

「あんた…今私が通話ボタンを押すの見てたでしょ?
何を言っちゃってるのよ…」

えっ?

だが、その瞬間で思い出し血の気が引いた。

ま、まさか……!?

私は、慌てて梨子から
スマホを取り上げ耳に当てる。

「も、もしもし…」

するともの凄い低い声で

『…そうか。お前の気持ちは、よく分かった。
悪かったな。振り回したりして』

そう言ってきた。

き、聞かれちゃった。

私の本心じゃない方を……。

「ち、違います!!
あれは、本心ではなくて、その自分の気持ちを
誤魔化すためで」

必死に誤解を解こうとする。だが、

『別に言い訳はいい。
会社の方は、俺から言っておく。
じゃあ、二度と会うか分からんが、元気でな』

そう言い一方的に電話を切られた。

「……。」

私は、立ち尽くしたままボー然としていた。
お別れを告げられてしまった。

二度と会うか分からないとか
俺から会社に言うとか…もう先生宅に
行く事も出来ないの?

「…涼花……」

心配そうな表情で梨子が声をかけてきた。