きっと、怒っているのだろう。

先生の怒った表情を想像するだけでも血の気が
引くほど怖かった。

オロオロしていると
その声に梨子が目を覚ました

「何よ…頭痛いのだから、騒がないでよ」

誰のせいよ!?

「昨日騒いでいたせいで、蓮見先生の電話に
出れなかったのよ。どうしよう~」

これじゃあ、ますます嫌われてしまう。
泣きたい気持ちになる。

「えっ…?いいんじゃない?
放っておけば…向こうも少しは、
焦るでしょ?頭痛い」

梨子は、眠そうに布団に潜り込んだ。

ちょっと、誰のせいでそうなっていると
思ってるのよ!?

いや、私のせいでもあるけど…。

着信履歴を見ながらため息を吐いた。

「電話してみようかな…」

いや、でも怒っているだろうし
電話をするのが怖い。

モヤモヤしているとひょいと
梨子がスマホを取り上げてきた。

「あ、ちょっと…梨子!?」

慌てて取り返そうとするが
梨子は、阻止してくる。

「あんたは、肝心な時にもたもたしてるから
失敗するのよ!
こういう時は、勢いが大事なの。
私が代わりに言ってあげる」

そう言いながら通話ボタンを押した。

「ちょっと、ダメだって!?
梨子…返して」

慌てて取り返そうと必死になる。

「何よ…あんた蓮見先生の事が
好きなんじゃないの?」