「だ、大丈夫です。
私は、先生の担当ですし…こちらを優先に」

私は、必死に伝えようとする。
だが先生は、

「聞こえなかったのか?
俺は、しばらく来なくてもいいと言ったんだ」

えっ……?

「先生……」

それって…担当を外すってこと?

私は、一瞬頭が真っ白になった。

だが先生は、背中を向くと

「…分かったのなら早く帰れ」

そう言いそのままリビングから出て行った。

終わった…。

私は、ショックのあまり座り込んだ。

ハッキリ断らないから、先生を怒らしてしまった。
自業自得だわ。

ポロポロと涙が溢れてくる。
どうしよう…嫌われてしまう。

すると睦月君が自分のハンカチを差し出してくれた。

「……睦月君…」

私は、ギュッと睦月君を抱き締めた。

そんな事をしたら困らせるだけなのに
この子は、あまりにも優しいから…つい

「私…ダメだね。どうしても上手くやれない」

どうしてこうも、どんくさいのだろう。
失敗ばかりの上に…誤解されっぱなしだ。

情けない。
こんな自分が大嫌いだ。

「……。」

睦月君は、黙ってギュッと抱き締めてくれた。

結局私は、そのまま自宅に帰った。

明日担当を代えてくれって
会社に電話があったらどうしよう。

もう先生にも睦月君にも会えなくなっちゃう。