「瑞希くん。 柚希くんがいつも私のことを、って……」

「柳井、そんなこといいから家に行くぞっ。 瑞希、俺らの分も何か買ってきてっ」

「あっ……」



瑞希くんに話しかけてたのに、柚希くんが言葉を遮った。

私の手を握りながら階段を上り始め、瑞希くんとあっという間にすれ違う。



「柳井、ゆっくりしてていいからね」

「う、うんっ……」



私のことをどんな風に話しているのか聞きたかったけど、

柚希くんの足はまったく止まらずにどんどん上っていく。


ニコニコと笑った瑞希くんがひらひらと手を振るのを見て、

私も笑顔で手を振り返した。






「わぁっ……」



階段を上りきった私が見たのは、ビックリするような光景……。



「す、ごいね……」



柚希くんのおじいちゃんの家には大きな門があって、その先には長い長い石畳。

それを真っ直ぐ進んでいくと、ようやく家に到着する。