「あれ、兄貴じゃん」

「お、瑞希。 どしたの、買い物?」

「うん、下の出店で何か買おうと思って」



階段をゆっくりと下りてきたのは、私と同い年くらいの男の子。


目元が柚希くんとよく似ているし、親しげに話してるし、

柚希くんのことを『兄貴』って呼んでるし……。


……どこからどう見ても柚希くんの弟さん、だよね……。



「柳井。 紹介するよ、コイツ俺の弟」



……ですよねぇ。

やっぱり予想してた通り、柚希くんの弟さんだ。



「兄貴、それ紹介になってないよ。 俺は公原 瑞希(キミハラ ミズキ)、よろしくね」

「あっ……私、柳井 徳子ですっ」

「知ってる。 兄貴がいつも話してるもん」


「い、いつも……ですか?」

「うん。 あ、敬語無しで。 俺、柳井と同い年だから。 あと名前も普通に呼んでね」



にっこりと笑う弟さん。

そっか、同い年くらいかなって思ってたけど、本当に同い年だったんだ。

じゃあ瑞希くんって呼んでも大丈夫だね。


うん、瑞希くんって呼ぼうっ。


……それにしても、

柚希くんが私のことを『いつも話してる』って、

いったいどんな風に言ってるんだろう……。