「花火が上がるまで あと2時間くらいあるけど、どうするよ? マジで暇すぎるんだけどっ」
「そだねぇ……暑いし、暇だし、無駄に疲れちゃったね」
「俺ら場所取りして見るわけじゃないしなぁ……」
「うん」
眺めのいい中心部では、
レジャーシートを広げて場所取りをしてる人がかなり居る。
でも私と柚希くんは花火の途中で帰ることにしていたから、
そういった場所取りはしていなかった。
朝であれだけ混むんだから、帰りはもっと混む。
そう思ったから、どこか適当な場所で花火を見て、
適当な時間に切り上げて駅に向かうことにしていた。
それでもかなり混みそうだけどね……。
「しっかし、花火大会の会場ってこんなに混むんだな」
「だよね、初めて来たからビックリしたよ。 ……って、柚希くんも初めてだったの?」
「うん、会場に来たのは初めてだよ。 だって混むの嫌いだもん」
「えー? 花火は楽しいからいいんだって言ってなかった? 私、柚希くんは毎年来てるのかと思ってたよ」