「えと……とりあえず、移動しよっか……?」



駅前にはたくさんの人が居て、ガヤガヤと騒がしい。

あと少しすれば、また別の電車が到着して今以上に混雑すると思う。


そこにずっと立ち続けて話すよりも、どこかに移動した方がいいと思った。



「ね、柚希くん。 ちょっとだけ歩こ?」

「ん……そだな、歩くか」

「うん」



ニコッと笑った柚希くんに私も笑顔を見せ、ゆっくりと歩き始める。

どこに行っても人は多いけれど、それでも会場から離れていけば人の数は減っていく。


私と柚希くんは手を繋いだまま、ゆっくりゆっくりと歩いていた。



10分くらい歩いていくと、もうほとんど人は居ない。

建物もあまり無い場所に向かっていたから、余計に人が居ないのかもしれない。


唯一人が居て混雑してるのは、ポツンと建っていたコンビニ。


これから花火大会の会場に向かうだろう人たちで賑わっていて、

私と柚希くんも飲み物の調達とトイレ休憩のためにコンビニに立ち寄ることにした。