ガタンゴトンと電車に揺られながらあたしは昨日のことを思い出していた


きっとあれ以上の勇気はもう出ないだろう。


昨日先輩の手が触れた指先を触りながら窓の外の景色を眺めていた時だった、


「おはよう」


とどこからともなく声が聞こえた。


聞き間違えるはずがない


一回聞いただけだけど覚えてしまったんだから


「せん・・・ぱい・・・」


振り返ると笑顔の先輩が立っていた。


(ど、ど、どうして・・・・?!)


頭の中は軽くパニックになっている。


「昨日は助かったよ。ありがとね」


頬を指差しながら先輩はにひっと笑った。