「なんであの子なのよ。」

「和希様は一体どうして…。」


そんなクラスの女生徒達の僻みの声が上がると、
大場がそそくさと彼女達の視線の先を辿る。


「おお?早速皆さんお揃いだぞっ!?」


なんて見るからに馬鹿な司会を始めた大場を無視して、
俺もその視線の先、窓の外へと目を向ける。


「送ってくれて、ありがと和くん。」


「気にするな。」


「なぁ、わか!昼休みは絶対物理講義室な!」


「時雨うるせぇよ。」


「春馬には言ってない!!」


「時雨、落ち着いてください。沈めますよ?」


「ア、ハハハハ…」


賑やかな5人組。
どうやら、先程聞いた噂は、真実だったようだ。





俺は静かに窓の外を眺める。

彼等は気が遠くなるほどに、遠い人達。