「先生!」
「どうした、素野」
「体調が悪いので、保健室へ行ってきます……」
私はぎこちない嘘をつき、教室を出た。
私の勘は、嫌ってくらい当たる。
だからこの悪い予感も……。
私はバイクの音が聞こえる方へと足を動かした。
真正面から行って先生に見つかったり、このバイク音と関係があるような問題に巻き込まれたらどうしよう!
……それは避けたい。
ただ様子を見てくるだけ。そう、それだけ。
私はグラウンドの方から音が聞こえてくることを確信し、裏口から向かうことにした。
この胸のざわめきが、だんだんと増していっていることに気づかずに。