「じゃあ、行こっか」




彼は立ち上がって、私に手を差し出した。


私は一瞬だけためらったが、彼の手に自分の手を重ねた。





今は、この人しか頼れる人がいない。


それに、私は生きなければいけない。




罪を背負って、闇を抱えて。








「大丈夫だよ」



彼は私の手をひいて、そう優しく言ってくれた。







もしかして、彼は気づいているのかもしれない。


私が背負っているものに、そして、同じ世界の住人だということに。






私はその言葉が嬉しくて、ギュッと彼の手を握る力を強めた。