郁人くん達のことを見ていると思わせて、こっちを“見ている”。
観察されているかのような、ジトッとした目に、居心地が悪くなる。
でも私は、気づかない振りをした。
ここで私が二人の視線に気づいたら、余計不審に思われてしまうことを恐れて。
初めて、守られる立場になった。
姫という、もったいないくらいの存在になった。
けれどその立場に縛られているのは
私の重く、真っ黒に汚れた、罪と過去。
守られる、姫、そんな言葉を聞くたび、きっといつだって私の脳裏に過る。
「私はそんな人間じゃない」という、自分の声が――。