「――雫」 「竜、大丈夫?」 怒っている郁人と蒼をようやくまいたのか、逃げ回っていた竜が帰ってきた。 少し疲れたような様子の竜は、額に浮かぶ汗を拭う。 「あぁ、大丈夫だ」 「どうして二人、あんなに怒ってたんだろうね」 「………」 「?」 どうして黙っちゃうの? いきなりの沈黙に、私は首をかしげた。 竜はそんな私を見て、深いため息をつく。