博はグラスに飲み物を注ぎながら、静かにそう言う。 そんな博に、一之江先生は一瞬哀しそうな瞳をした。 「かっこよすぎだろ」 「俺が?ははっ、冗談言うなよ」 いやいや真面目に、と付きたして一之江先生は言う。 「だけど、雫を泣かせたら、そんときは――」 「本気【マジ】なんだな、あのお姫様に」 二人の秘密めいた会話を知る者は、誰もいない。 博の隠した気持ちと、それを知る一之江先生。 二人の会話は、パンドラの箱の中へ。