竜は私の腕を放さずに、そのままパーティーを行っている洋館の一階にある大広間を出て、すぐ近くのベランダへ向かった。
歩いているとき、一切会話はなかった。
でも、重い雰囲気ではない。
どちらかというと、くすぐったいような。
竜に手を引っ張られていても、それは強引じゃない。
あくまでも優しく、私を引っ張る。
私の腕を掴んでいる竜の大きな手から、熱い温もりを感じる。
ジンジン、感じる。
その温もりに、私はなぜか少しだけ恥ずかしくなった。
どうしようもなく溢れてしまう。
今まで“幸せ”になることに、心がセーブしていたからか、今までよりなおさら。
心の中に、大好きな人への愛が、流れ込んでくる――。