途中、大学生に絡まれていると、


一人の男が助けてくれた。







『大丈夫?』







――それが、博だった。





私は博のことを知っていた。


なにせ、私は紅組の娘。



裏の世界の情報は、隅々まで頭に入っている。





中でも博は、有名な部類の人間だった。


王雷という族の幹部。とても強いという噂があった。







でも博は私のことなんて知らない。


紅組の情報は、すべて厳重にロックをかけていたのでセキュリティも万全。



だから私の存在なんて、知っているはずかない。