「大丈夫?」 彼は、私目線にしゃがんで、人懐っこそうな笑顔を向けた。 私は「うん」と声に出さずに、ただ黙って頷いた。 「どうして君みたいな小さな子が、今ここにいるのかな?」 私はその質問に、一歩退く。 ……答られるわけがない。 初めて会った人に、さっき私がしてしまったことを話すわけにはいかない。 「………」 「言いたくない、か。 じゃあ、家はどこかな?」 「………」 家なんて、もうない。 私は俯いて、首を振った。