『雫、おかえり』
『あ、お父さん!』
『おやつ食べ終わったら、稽古室に来なさい』
『はーい』
私のお父さんは、貫禄があり、とても強い人。
毎日お父さんが直々に、私に稽古してくれるんだ。
稽古の内容は、空手・合気道・柔道・剣道……など、主に武術。
なんでそんな稽古をしているのかっていうと、それは私の家が“普通”とは全く違うから。
私の家は、紅組という裏の世界ではトップといっても過言ではないほどの実力と権力を持った、極道…いわゆるヤクザだ。
裏の世界では「紅組」だが、表の世界では「クレナイ」。
クレナイは、政府が認めた警察補助部隊の捜査隊。今までたくさんの事件を解決へと導いてきた、政府も警察も一目置いている組織だ。