昔から、裏の世界で住んでいた。 友達なんてろくにできなかったし、いつだって私から周りは離れていった。 私のような人間を、一般の人間は好まない。 「それに紅って……」 瑛士の呟き声は、神雷の洋館に響いた。 「あぁ、そうだ。 このお姫様は、紅組の人間だ」 私の頭の中では、ある映像が映っていた。 それは、呼び起こしてしまった私の過去。 冷たい暗闇の中、溢れ出す記憶。 私は涙を一粒こぼし、その過去をぼんやりと眺めていた。