「姫の正体を知ってもなお、守れるのか?」



私を捕まえて片腕を回しているこの人が、低い声でそう尋ねる。





私の正体……。


なんでブラックが知ってるの?





私の秘密も正体も


ブラックなんかが知らないはずなのに……!








――ということは、やっぱりこの人は……“あの人”なの?









「守れるに決まってるじゃん!!」



郁人が眉間にしわを寄せて、そう叫ぶ。



余裕がある声で、ブラックの一人が「それはどうかな?」と返して言った。






私の秘密も正体も、言わないで。

まだ、神雷には言わないで。



心の準備が、できてないの。