「今は、ダメだ」 しかし、その人から離れられない。 ……今は? どういうこと? そして私は、一階に連れて行かれた。 その人は持ち上げていた私を下ろし、片腕を私の首に回した。 私が離れていかないように。 私が逃げてしまわぬように。 ……なんて力。 グッと首がしまる寸前まで、腕を回している。 だけど、私が苦しくならない程度に、だ。 優しい人……。 やっぱりこの人は――。