「見てこようかな」
もし嬉色さんだったら、普通に幹部室まで訪れるだろう。
なのに、今日の来客者はこっちに来る気配はない。
ということは、嬉色さんではない。
もちろん、他の先代の方々でもないだろう。
そうなると……誰?
敵?……いや、でも、それはないはず。
神雷の洋館にわざわざ来るバカな奴は、そうそういない。
想像がつかない。
一体誰が……。
私は、幹部室の扉のドアノブを握っていた手を離し、出入り口の方へ向かうことにした。
私の少しあとに、幹部室の扉が開く音が聞こえた。
皆も来客者が気になったらしく、私と同じように誰が来たのか確かめようとしてる。
妙にざわついた胸。
少しの不安が、胸に募る。