「雫」


「何?」



竜が私に声をかける。


さっきまで少しだけ赤かった頬は、もう元に戻っている。






「何か欲しいものはねぇのか?」






欲しいもの?


なんでいきなり……。






「『夏祭り楽しめ』って意味だよ」


新平が、コソッと耳元で私に教えてくれた。




なるほど。そういう意味だったのかぁ。


竜なりに、私を楽しませようとしてくれたんだね。






「わたあめが食べたいかな」






私が笑顔でそう言うと、竜は少しだけ口角を上げて「わかった」と言った。