ふと空を見上げると、もう夜。
郁人くん、大丈夫なのかな……?
夜嫌いな郁人くんをチラッと見ると、偶然目が合った。
郁人くんは私の考えていることがわかったのか、ニコッと優しく微笑む。
「大丈夫だよ」
「……本当?」
「皆といるとね、平気なんだ!」
郁人くんはもう一度「だから大丈夫だよ」と、私に作り笑顔なんかじゃない、本当の笑顔を見せてくれた。
その笑顔にホッとして、私も微笑む。
「あと、雫ちゃんがいるから、ね」
「?」
ボソボソッと何かを小さな声で呟いていた郁人くんだが、私にはなんて言っているのか聞き取れなかった。
私が首をかしげると、郁人くんはあははっとごまかすように笑った。