「あ、蒼……くん」
「“くん”もいらねえ」
「あ、蒼……?」
男子を名前呼びするのって、なんだか恥ずかしい。
それに「くん」もなしなんて。
私は赤い頬を隠すようにうつむきながら、小さな声で言った。
チラリと横目で蒼を見ると、蒼は耳を少しだけ赤く染めて明るく笑っていた。
蒼の笑顔は珍しい。
皆が言っていた言葉を思い出す。
最近、蒼の笑顔をよく見るようになったのは、心を開いてくれたからなのかな?
「そういえば、蒼の漢字って、円堂蒼さんと同じだよね」
神雷初代総長の円堂蒼さん。
名前が、蒼と同じ漢字だから、少し驚いた。
「あー、蒼さんもそれで俺のこと可愛がってくれたんだ」