風がブワッと吹いて、敵も俺も雫も一瞬動きを止めた。
息をするのも忘れるくらい。
颯爽と現れた誰かが、雫を素早く救出し、ナイフをあっという間に奪い取った。
本当に一瞬のことで、敵の奴は今何が起こったのか、とざわついていた。
あれは………。
あの姿は―――。
雫を助けた奴は、よくわからないキャラクターのお面をしていて顔はわからない。
しかし、雰囲気でわかった。
あいつは強い奴だ。
俺たち神雷と、力の差はほぼ互角。
そんなオーラを、穏やかに出していたそいつ。
あの姿を、俺は知っていた。
見たことのある面影を持っている。