だけど、あいつだけは何か違うんだ。 雫は……普通の女とは違う。 そこらへんの女とは違う。 ちゃんと、俺自身を見てくれる。 そういう優しい奴だ。 「お前、うっせぇんだよ!!」 「っ!」 男が、雫の首元にさらにナイフを近づけた。 夜の闇に、ナイフはいやに目立った。 キラリと、反射するナイフ。 やめろ。 ……そいつを傷つけんじゃねぇ。 俺、何してんだよ。 俺があいつを守らなくてどうすんだよ。