なんで皆、固まってるの? それに、少し頬が赤いような……。 気のせい? 「い、行こうぜ」 長い沈黙を最初に破ったのは、瀬戸川さんだった。 「そうだな」 続いて、藍島さんが言う。 遠くから、夏祭りの音が聞こえる。 はしゃいで、騒いで、盛り上がっている音や声。 夜の空の下、明るい光が灯る場所。 藍島さんが、洋館の扉を開けた。 私も、光が集まるあの場所へと行くんだ。 そう思うと、胸が弾んだ。