「竜~~行こうよぉ」 郁人くんは、瞳をうるうるさせながら、藍島さんにねだる。 そんな郁人くんに、藍島さんはため息をこぼす。 「……仕方ねえ」 「やったー!!」 夏祭り、か。 浴衣とか、何年ぶりだろう。 久し振りだ。 「雫ちゃん!」 「?」 「明日、僕の家から雫ちゃんに似合うような浴衣持ってくるね」 そういえば、郁人くんって大手化粧品会社の御曹司だった。 お金持ち……。 ってことは、家も当然豪華なんだろうな。