「――今は、叔父の家を出て一人暮らししてるんだ」





ひとりでも生きていける。


それくらい強くなったから。






雫ちゃんの顔を覗き込むように見てみると、少しだけ瞳を潤ませていた。






「……雫ちゃん?」



「寂しかった、よね」




「え…?」







寂しかったのかな、俺は。



わからない。

ただあの時は、全てに戸惑って、怯えて、怖がって。





受け止めきるだけで、精一杯だったから。






自分の孤独さになんて、気づく暇もなかった。


ましてや寂しいなんて、お母さんの怒り狂う前で思えなかったのかもしれない。