もう俺には、その光すらも消えてしまった。
俺の大切にしていた物が、儚く、淡い泡になってしまったんだ……。
それから数日後、お母さんは心の病にかかり、病院でしばらくの間入院することになった。
明日のことすらも考えたくなくなったお母さんにとって、病院は一番居心地がいいのかもしれない。
過去も未来も要らないと、お母さんは思ってしまったんだから。
だけど、俺には過去はもう闇に包まれてしまったとしても、まだ未来が残ってる。
見知らぬ、誰もがわからない未来。
俺には、それが唯一の希望の光だった。
『………瑛士』
お母さんは、入院が決まってすぐ、俺に話しかけてきた。