――次の日。 私は学校へ来ていた。 桜がひらひらと舞う、朝の通学路。 まだ学校には慣れていないし、まだ真新しさが残る制服。 友達も数人だけどできたし。 少しの期待が、胸をふくらます。 学校に着き、教室へ行く。 「あ、素野」 「はい」 私は学校では、素野雫と名乗っている。 博が、そうしろって言ってくれたんだ。 私の本当の苗字の「紅」は、目立つから。 ――“表の世界”でも、ニュースになったほどだもの。