――ガチャッ






玄関の扉が開く音が聞こえて、僕は笑顔になる。


きっとお父さんだ!






『お父さん、おかえり!』







僕は走って玄関に行って、お父さんを出迎える。


けれどお父さんは、いつもみたいに笑ってはくれなかった。





『お父さん……?』






どうしたのかな。



すぐにいつもと違うことを察した僕は、お父さんの顔を覗き込むようにして声をかける。






疲れているような、窶れたような。


雰囲気が少し暗く、重い。