「郁人くん……」




ポロッ、とついに雫ちゃんの瞳から涙が一滴こぼれ落ちた。


届いてたんだ…、と嬉しそうに呟く雫ちゃんの声が、ベットがひとつしかない個室の病室に響く。








「僕ね、夜が嫌いなんだ」








僕は、雫ちゃんの涙を指ですくうように拭いながら言った。








僕の光になってくれた雫ちゃんに、聞いてほしい。


僕の暴走のことを。








雫ちゃんは僕の気持ちを察してくれたのか、真っ直ぐ僕のことを見つめる。


潤んだ瞳は、とても澄んでいて綺麗だった。






そして僕は、語り始めた。

僕の、薄暗い過去を―――