「恐くなんてなかったよ」











雫ちゃんは、僕の震えている手のひらをギュッと優しく自分の手で包んで言った。



え……?


伏せていた目を、雫ちゃんに向ける。






「本当?」



「郁人くんのこと、恐がるわけないじゃん」







僕に笑顔を見せた雫ちゃん。


その笑顔は、前と変わらない、優しい笑顔。





僕まで泣きそうになって、グッと耐える。






僕の暴走を見たのに、恐くないの?どうして?