「……ん…」 「郁人くん!?」 重い瞼を少しずつ開けていくと、隣から僕を呼ぶ雫ちゃんの声が聞こえた。 ゆっくりと顔を向けると、雫ちゃんは瞳を潤ませて、今にも泣きそうな表情をしていた。 「大丈夫!?」 「ここ……どこ?」 「病院だよ!藍島さんがね、ここまで運んでくれたの」 そうなんだ。竜が……。 天井も床も、全部が白い病院。 ここに来るのも久し振りだな。 竜の知り合いがこの病院の医者で、神雷はよくお世話になっている。