「おはよ、博」
4月下旬の朝。
私・紅 雫【クレナイ シズク】は、朝食のフレンチトーストをテーブルに出しながら、
リビングに欠伸しながら来た博に、挨拶をした。
一人暮らしをしている博の家に転がり込んだのは、小学五年生の時。
今、私は高校一年生。
あれからもう、5年が経った。
「おはよう、雫。あ、今日はフレンチトーストなんだ」
眠たそうなトロンとした目で、私が作ったフレンチトーストを見て、笑顔になる博。
朝食を食べ始めて、数分後。
「あ、今日からだから。留学」
「え……?」
博の言葉に、私は持っていたフォークを落としてしまった。