私のいじめと友情物語




――――パンパンパンパンッ…………。


夕子は私の頭から足まで、黒板消しで叩いて真っ白にした。


う……そ……夕子が……花梨達の味方を……?


「あ……私……」


「夕子さっすがー☆ センスあるぅ♪」


カナミは夕子は肩に腕をまわして私を見て笑っている。伊織と花梨もクスクスと笑っている。


――ポツン。


あれ……?私、泣いてるの……?いじめなんて、もう慣れたはずなのに……。


《見てよあれ、いじめに耐えられなくて泣いちゃってるよー》《友達に裏切られちゃって、かわいそー》


クラスのあちこちからそんな声が聞こえてくる。


もう……ヤダ……。


私は自力でごみ箱から抜け出して教室から出て屋上で1人で大泣きしたのだった。










――“初めての”友達だったのに――……!!





☆−−−−−−−−−−−−−☆







『……弥生ちゃん、許してくれないとわかってるけど……あの時はごめんね……』


「うん……大丈夫だから……今、私には麻李華がいるから」


『そっか……じゃあ、またね』


そう言って夕子は電話を切った。







それから1週間後の日曜日。私・麻李華・蓮くんと一緒に麻李華の家で遊んでいた。


「……ねぇ弥生、……いじめられてて悔しいとか思ったことないの?」


「え? ……うん、あるよ」


「じゃあさ、……あの3人に復讐しない?」


え……!?


「お前……、冗談だろ? あいつらに敵うわけ……」


「あら私、財閥の娘だし力はあるわ。それに、復讐なんて簡単よ? 今まで弥生がされてきた事を私達でするだけだもの。どう? やってみない?」


麻李華って財閥の娘だったの!?!?……でも、少しは復讐してみたいな……。


「……うん、やる。蓮くんもやろうよ」


「え゙……。……もう、どうなっても知らないからなっ!?」


「大丈夫よ。わたし、失敗しないから。……で、まずは……」


そのあと、3人で花梨達にどうやって復讐するかを話し合った。






――作戦実行日。朝、私達3人は皆がまだ登校してこない時間に学校にいった。


「……よし、赤原のげた箱はー……これね。弥生、作戦実行よっ」


「……うん」


私は昨日買った画鋲をカナミの上履きに全部入れて、さらに牛乳で上履きをびしょ濡れにしてやった。


「……こんな感じでどんどんいくわよ!」


「うん! 次は伊織だね!」


「お前ら……テンション高いなー……。俺まだ眠いんだけど……」


私達は1年E組の教室にいき、伊織の机の前にきた。そして机の中にあるものと机と椅子を教室から出して屋上に運び、ロッカーの中に入ってるものを全部出して教科書やノートをビリビリに破いて使えなくしてやった。しかも今日は雨が降っているから机と椅子がびっしょびしょなのだ。







「……よし、次は花梨か」


私は花梨の机に落書きしようとした。


「あ、弥生待って」


麻李華が私をとめたのだ。


「? なに? 麻李華」


「あいつには……直接いじめの復讐をしてやりましょうよ」


「うん! でも、なんで?」


「だって1番弥生にひどいことしたのアイツじゃん。だから夢井と赤原よりもすごい復讐をしてやらなきゃ。……でしょ? 弥生」


あ……確かに……水責めも足をひっかけてきたのも、全部花梨だ……。


「うんっ、頭いいねー麻李華は!」


「じゃ、あとは2人の反応を見てみましょう。早くしないと赤原がきちゃうよ!」


私達は1年のげた箱をこっそり見た。ちょうどカナミが到着して、上履きを履こうとしている。カナミは友達の方を向いていて、上履きに画鋲が入っていることがバレていない。







「――キャアッ!! 痛ぁーいっ!!!」


カナミは上履きに足をいれた瞬間、叫んだ。しかもそのあと牛乳でびしょ濡れになっていることに気づき――。


「キャー!! 冷たっ!! 臭いっ!! 誰よ、こんなことしたの!!!」


周りにいる生徒達はなんとか笑いを堪えている。


「……ッ!! 笑ってんじゃないわよ!!!」


おー、カナミがキレたー。


「……作戦大成功ね、弥生」


「うん! 次は伊織だ、教室にいこう!」


私達はカナミに気づかれないように教室にいった。5分後、教室の前のドアから伊織とカナミが入ってきた。……って、カナミったらあの臭くて冷たい上履きはいてるし。







「みんなおはよー! ……あれ? 私の机と椅子がない!!」


フッ、ビックリして慌ててるよ。ざまぁみろ伊織!!


「ねぇ、誰か知らない? 私の机と椅子、どこにあるのか知ってる!?」


すると伊織は黒板に書かれていたことをみて、教室を飛び出て屋上に走っていった。私達3人は伊織のあとをついていった。


「あ……私の……机と……椅子が……!!」


びしょ濡れになっている机と椅子をみて、伊織は立ち尽くしていた。そのあとロッカーに入っている教科書とノートがビリビリに破られているのをみて、とうとう泣いた。


それから10分後、花梨が到着。私は花梨が歩いていく方向に足を出してつまづかせた。







「――キャアッ!! ……弥生……あんた、なにすんのよ!!」


「なにって……今まで私にしてきたことを花梨達にお返ししてるだけだけど?」


私は花梨に向かって鼻で笑ってやった。


「なっ……!! サイッテー!!」


そういって花梨は自分の席に座って準備をした。




休み時間。私と麻李華は花梨トイレにいっている時に上からトイレの汚い水をバケツごとぶっかけてやった。


「あんた達……。放課後、体育館裏にきなさい……!」


「花梨は3人できてね」


そういって私と麻李華はトイレを出た。


――そしてついに放課後。私達3人は体育館裏にいった。


「……きたわね」


そこには花梨達が先にきていた。


「弥生……、あんた自分はなにしたかわかってんの? あの日のこと、忘れたなんてないわよね?」


「うん、忘れるわけないよあんなこと」


それは去年の出来事だった。


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