「おい!どこ行くんや!」
『うるっせーんじゃ!てめぇに関係ねぇやろが!ちったあ黙っとれや!』
バアンッーー
ドアに苛つきをぶつけるように開け、目の前にあるもう一つの階段を下りる。
ったく、どいつもこいつも冬夜と友紀と比べんなや腹立つ。
私の兄と姉は、凄い真面目で、兄の担任を3年間受け持った真崎は、いつでも私と兄を天秤にかける。
家でも学校でもどこに居ても比べられる私なんかに居場所なんてない。
“私” という “存在” を受け入れてくれる奴なんていない。
ムシャクシャしている私は下駄箱でクロックスに履き替え、煙草に火をつけて来た方と違う門に向かった。
『ちっ、結局どいつもこいつも一緒やねぇか』
ボソッと呟きながら門をくぐり、家に向かう。
「あれ?」
門を出てすぐに右に曲がった私の後ろからマヌケな声が聞こえた。
後ろを振り向くと立っていたのは、昨日の奴等だった。
「え!お姉さん中学生なん?!」
「どえらい早い下校やな〜」
5人はケラケラ笑いながら近付いて来る。
『何やねん。文句あんのか』
「ん?ないない!ただな、タメかな〜とか思っとったでびびったん!」
あそ。
くるり、と元の向きに体を向き直し、スタスタと歩く。
「ちょっ、待ってや!」
私の腕を掴み自分の方に私を向ける昨日の茶髪野郎。
初めてちゃんと5人を見た私は更に嫌気がさした。
何なんこの色とりどりの頭。
しかも全員なかなかイケメンやし。
私はチャラチャラした奴もイケメンも大っ嫌いだ。
チャラチャラした奴はヤリ目ばっかだし、イケメンはほぼほぼナルシだから。
まあ、今までの事を踏まえた私の偏見だ。