『ふぁ〜〜』




あと数歩で校門に着くというところで、盛大なあくびをしながら校舎を見上げる。




なーんか久々に学校見た気ぃする…
まあ、当たり前か……




ぽけ〜っとしながら校舎から前に視線を向けると、前から茶髪野郎達が歩いて来ていた。




ドクンッーーー




私の鼓動が早くなる。


茶髪野郎達との距離が近付く前に校門をくぐって、校舎に入ろうとした私の考えとは裏腹に、足が言うことを聞いてくれない。




「あっ!」




うわっ!さいっあく……




茶髪野郎達に気付かれてしまった私はもうどうにでもなれ、という気持ちでいっぱいだった。




「お前、俺等のこと避けとったやろ?」




茶髪野郎の的を射抜くその言葉に私はすんなりと頷く。




「もしかして俺がゆうたあの言葉のせい?」




何もかも見透かしてるような茶髪野郎の目が気に食わなかった。






“あの言葉”ーーーー






私の耳元で囁かれたのに、その言葉しか音がないかのように周りの雑音さえも失わせた “あの言葉”ーーーー







ーーーーーー「お前目ぇ死んどるで」






『…るせぇ。お前に関係ねぇやろ……』




俯きながら聞こえるか聞こえないかぐらいの声で言った。





「え!なになに!俺何も知らんのやけどどーしよ!なあ純ちゃん!」


「お前だけちゃうわ!俺等も知らんわ!」


「ちょっ、春樹も純も空気読めやアホか!」


「ちょっとほんまにうるさいでお前等」




無言の茶髪野郎以外がKYな会話をしている中、私は必死で涙を堪えていた。




「おい、お前こっち見ろ」


『嫌じゃ』


「ええからはよ」


『何で?』


「俺はお前を救いてぇ」